朝日新聞社小河記者による講演会
【私担当の学部ゼミでは課内・課外で社会の第一線で活躍されている方々のお話に触れる機会を設けていますが、今回からその模様を参加学生にレポートしてもらうことにしました。】
こんにちは、曽我部ゼミ4回生の岡田和仁です。
6月3日(金)のゼミにて、朝日新聞社社会部の小河記者による講演会が行われました。
講演は、先月オバマ大統領が広島を訪問したニュースについての話題からスタートしました。そして、メディアが被爆者の方々に関する取材をニュースにする作業を通じて、「原爆による30万人の死者」という匿名・抽象的な情報を具体的なものにした意義について触れられました。
次に、そうした新聞報道において、実名・匿名報道の区別がされていることについてお聞きしました。実名報道によって、情報の受け手であるわれわれが感情移入しやすくなるなどのメリットがある一方で、匿名で報道しなければならないニュースもあるというメディアの葛藤が語られました。
最後に、実名で報道するか否かの判断はきわどいものであるということについて、最近のニュースに対して現場がどのように対応したのかをお聞きしました。
約1時間の講演の後、ゼミ生からの質問に答えていただきました。
参加者全員が質問するという盛況ぶりであったので全てに触れることはできませんが、私個人の中で特に印象に残っているものを2つ挙げさせていただきます。
まず、実名が出されなくても所属団体や役職が分かるだけでインターネットを通じて個人を特定できるようになった現代において、匿名報道の中でもどこまで個人情報を出すかについて質問がありました。この点について、ニュースバリューを考慮してどこまで個人の人物像を明確にすべきかがケース毎に判断されているとのことでした。
次に、報道が国民の知る権利に奉仕するために、どのように国民の需要を把握するのかについて質問がありました。この点について、かつては新聞社と購読者との双方向性が欠如していたが、現在ではデジタル記事の閲覧数を通じて需要を判断することができるようになったとのことでした。一方で、国民の知りたい情報とは別に、知らせるべきものもニュースにする必要があるとの指摘もありました。
今回の講演会を通じて、国民の知る権利と個人情報との間の緊張関係について報道の現場でどのように考えられているのかを知ることができました。
講演してくださった小河記者に、この場を借りて御礼申し上げます。