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京都大学大学院法学研究科・曽我部真裕(憲法・情報法)のページです。

フランスにおける児童ポルノ規制

 知り合いの先生から問い合わせを頂いたので、この機会に簡単に整理しておきたいと思います。

 フランスの児童ポルノ犯罪を規定するのは、刑法典227-23条であり、そこで犯罪とされているのは以下の4類型です。

 ① 頒布目的の児童ポルノの録画等(5年以下の懲役と75,000ユーロ以下の罰金)

 ② 児童ポルノの頒布、輸出入等(同上)

 ③ 児童ポルノの単純所持(2年以下の懲役と30,000ユーロ以下の罰金)

 ④ オンラインでの児童ポルノの常習的な閲覧(同上)

 日本で最近問題となっている③は、2002年の法改正で設けられた犯罪類型ですが、それ以前には、頒布目的製造罪のrecel(犯罪物件を悪意で隠匿・所持等する行為を処罰(刑法321-1))により単純所持を処罰しており、実際、ハードディスクに児童ポルノ画像をダウンロードして保存していた者がそれで有罪とされた例があるようです。

 また、④は2007年の改正により犯罪とされたもので、フランスでも近年処罰範囲が広がっていることがわかります。

 なお、刑法には児童ポルノの定義はなく、解釈上、実在児童のみならずヴァーチャルな児童ポルノについても含まれるとされているようです。他方、18歳以上ではあるが18歳未満に見える場合も、撮影時に18歳以上であることの証明がない限り児童ポルノに含まれる旨の定めがあります。