「2008年7月の憲法改正」日仏法学25号
曽我部真裕「2008年7月の憲法改正」日仏法学25号(2009年)181-198頁
この度刊行された日仏法学25号は、まず、2007年末に逝去されたフランス法・労働法の大家である山口俊夫先生の追悼が行われています。個人的にも、山口先生のご著書『概説フランス法(上)(下)』、『フランス法辞典』で大変勉強させていただきました。ご冥福をお祈り申し上げます。
さて、昨年秋に発表された拙稿「フランスの2008年憲法改正の経緯」法学教室338号(2008年)6-7頁で、予告させていただいたのが今回の拙稿ですが、紹介の対象としたフランス憲法の大改正は2008年7月21日成立なので、ほぼ1年たつことになります。その間に、南野森「フランス――2008年7月の憲法改正について」法律時報81号4巻、三輪和宏「フランスの統治機構改革」レファレンス700号など、今回の大改正を紹介する文献も公表されていますが、今回の拙稿は、これらの屋上屋を架すものになってしまいました。一応、前回の拙稿は憲法改正の経緯を、今回では内容を紹介するものとなっています。
憲法改正の成立後、その実施のための法律の整備が徐々に進んでいますが、本稿では09年2月の時点までしかフォローできていませんが、その後、憲法34-1条、39条及び44条の実施のための憲法附属法(組織法律)2009年4月15日法律2009-403号、1958年11月17日議院運営オルドナンスを改正する2009年6月15日法律2009-689号が成立しています。
なお、今回の憲法改正については、その承認のための上下両院合同会議を傍聴する機会に恵まれました。こちらでそのときの報告をしていますので、あわせてご覧下されば幸いです。
(追記)「外国の立法」240号(2009年)139頁以下に、改正前後の憲法条文の対照表が訳出されています。
【目次】
はじめに
一 執行権のよりよい統制
二 議会権限の強化
三 市民に対する新しい権利の付与
四 その他
おわりに