「議会内における野党会派の位置づけについて」
京都大学法学会発行の研究紀要・法学論叢のこの春退職される先生方をお送りする記念号(164巻1-6号)に「議会内における野党会派の位置づけについて――フランスの2008年憲法改正を素材として」を掲載していただきました(552-571頁)。
フランスでは昨年7月に大規模な憲法改正があり(参照、拙稿「フランスの2008年憲法改正の経緯」法学教室338号(2008年11月号))、その柱の一つとして議会の地位の強化が図られたのですが、その一環として、野党会派に対して特別の権利を認めることを可能とする規定が設けられました。本稿はこの点に着目し、このような改正に至った経緯をたどり、若干の理論的分析を行ったものです。もっとも、余り踏み込んだ検討はできず、これからの検討課題も多いのですが、色々とご教示を頂ければ幸いです。
曽我部真裕「議会内における野党会派の位置づけについて」(2009年)
【目次】
一.はじめに
二.野党会派の地位の承認までの道程
(1)総説
(2)ヴデル委員会報告書(1993年)と1995年憲法改正
(3)2006年下院規則改正と違憲判決
(4)バラデュール委員会報告書と2008年憲法改正
三.若干の検討
(1)「野党の地位」の必要性
(2)「無責任でいる自由」
(3)統制機能と立法機能
四.おわりに