Bienvenue sur le blog de masahiro sogabe

京都大学大学院法学研究科・曽我部真裕(憲法・情報法)のページです。

リポジトリ登録

下記の拙稿を,京都大学学術情報レポジトリ「紅(KURENAI)」に登録して頂きました。PDFで本文をご覧頂けます。

人権訴訟における民事訴訟の意義 --ヘイト・スピーチ裁判を例として」 自由と正義67巻6号(2016年)13-19頁

 

なお,以下の拙稿もすでに登録されています。

 「濫用的な情報公開請求について」 法学論叢176巻2・3号(2014年)305-327頁

 

 「<新聞の信頼回復に向けて>ジャーナリズムの基盤は読者の信頼 : 「自律性」が生む落とし穴に注意を」新聞研究762号(2015年)8-11頁

 

 「公正取引委員会の合憲性について」『経済社会と法の役割 -石川正先生古稀記念論文集』(2013年)5-35頁

 

 「通信の秘密の憲法解釈論」Nextcom16号(2013年)15-23頁

 

 「メディアの公共性と制度的優遇措置 -再販維持の論理、フランスの事例と比較して」新聞研究別冊『新聞の公共性と知識課税』58-61頁

 

 「フランスにおける違憲審査制度改革」比較憲法学研究25号(2013年)31-55頁

 

 「ジャーナリズムと『表現・報道の自由』問題を通して、報道のあり方を考える」Journalism 2013年10月号(281号)82-89頁

 

 「裁判員制度と報道 NHKスペシャル尼崎事件再現映像番組から再考する」 新聞研究746号(2013年)43-47頁

 

 「フランス『活字メディア三部会』の議論」新聞研究694号(2009年)54-57頁

 

 「フランスに見る国家助成の考え方──長い伝統に培われた多種多様な制度」新聞研究657号(2006年)22-25頁

 

  「放送番組規律の『日本モデル』の形成と展開」曽我部真裕・赤坂幸一(編)『憲法改革の理念と展開 : 大石眞先生還暦記念 (下巻)』(信山社,2012年)372-403頁

 

 「検討課題として残された独立規制機関」放送メディア研究(NHK放送文化研究所発行)10号(2013年)159-183頁

 

 「自由権(特集・憲法入門)」法学セミナー688号(2012年)12-14頁

 

 「猿払判決香城解説の検討――憲法学から」法律時報臨時増刊『国公事件上告審と最高裁判所』(日本評論社,2011年)121-127頁

 

 「表現空間の設計構想(フランス)―思想・意見の多元性原理をめぐって」 駒村圭吾鈴木秀美(編)『表現の自由Ⅰ―状況へ』(尚学社,2011年)134-160頁

 

 「マスメディア集中排除原則の議論のあり方」法律時報83巻2号(2011年)93-96頁

 

 「表現の自由の現在」法学セミナー674号(2011年)17-19頁

  

 「取材対象者の放送期待と放送事業者等の不法行為責任」(最一小判2008年6月12日)民商法雑誌141巻6号(2010年)581-601頁

   

 「2008年7月の憲法改正」日仏法学25号(2009年)181-198頁

   

 「青少年健全育成条例による有害図書類規制についての覚書」法学論叢170巻4・5・6号(2012年)499-514頁

 

 「『自己像の同一性に対する権利』について」法学論叢167巻6号(2011年)1-27頁

 

 「議会内における野党会派の位置づけについて : フランスの2008年憲法改正を素材として」法学論叢164巻1-6号(2009年)552-571頁

憲法学者をフォローしてみよう!

  しばらく前に、リブロ (@libro_jp)さんが憲法研究者のツイッターアカウントのリストを作ってくれていました。このタイミングで改めてご紹介したいと思います。

 

 

  このほか、木下和朗先生(岡山大)@kazkinosツイッターをされていますね。

 

(追記)当初記事ではうっかり、あるいは把握しておらず記載していなかった分を随時追加させて頂きます。

 武市周作先生(東洋大学) @shu_takechi
 實原隆志先生(福岡大学)@t_jitsuhara

 

 

 

 

 

3大学合同ゼミ@同志社大学

 

【ゼミの模様レポート第2弾は、先日行われた合同ゼミについて、4回生のF君に書いてもらいました。】

 遅くなりましたが、6月12日(土)午後に同志社大学で開催されました、九州大学(赤坂ゼミ)、同志社大学(尾方ゼミ)との合同ゼミの様子についてお届けします。


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 今回の課題は、「朝鮮学校がいわゆる高校無償化の対象から除外されている問題(以下、本件除外と記す)につき、朝鮮学校側が行いうる憲法上の主張を整理し、どう評価すべきか論ずる」というものです。各大学のゼミが議題につき調べたことや考えたこと、評価につき発表し、それについて他の参加者が質問し応答するという形式がとられました。

 トップバッターは尾方ゼミ1班です。ここでは、日本に居住する日本国籍保持者と朝鮮学校に通う生徒及び保護者の生活形態は変わるところがなく、彼ら彼女らが日本国籍を有していないとしても、憲法14条における「国民」に保障される権利、すなわち日本国籍保持者同等の権利が最大限保障されうるとしました。
一方、26条における「普通教育を受ける権利」については、朝鮮学校における教育内容は中立性を欠く政治的教育や個人崇拝を含むことから、朝鮮学校において教育を受ける権利は普通教育を受ける権利に該当せず、26条に基づく権利主張を朝鮮学校側はできないとしました。また、13条より導きだせうる民族教育を受ける権利についても、本件除外は直接的に民族教育を受ける機会を剥奪するものではなく、13条にもとづく権利主張もできないとしました。
 尾方ゼミ1班に対する質問としては、そもそも本件除外は政治的教育が原因なのか、という質問や、高校無償化の主体はどこで、何が違憲なのか、という質問がありました。

 お次は赤坂ゼミです。ここでは、まず朝鮮学校が訴えの利益を有するとして、無償化法による就学支援金受給資格の地位確認訴訟、これに付随して、本件除外は在日朝鮮人に対する人種差別であるとして、人種差別撤廃条約違反による国家の不法行為に対する賠償請求が可能であるとしました。
 その上で、もともと本件除外は無償化法による無償化法施行規則への委任において、当該規則の改正により生じたものであるところ、当該改正は無償化法の委任範囲を逸脱していること、並びに在日朝鮮人にも享受主体性が認められる憲法上の平等権、教育を受ける権利につき衡量不尽であるとして、本件における裁量権行使に瑕疵が認められるとしました。
 赤坂ゼミに対する質問としては、無償化は朝鮮学校の財政的な統制を行政がとれていないなか、89条の禁ずる公金支出にあたり、同条の趣旨に反するのではないか、という質問や、憲法上の権利主体とされる在日朝鮮人についても、特別永住者資格の有無、国籍の有無が各々異なるが、その区分につき検討したか、という質問がありました。

 3番目は曽我部ゼミです。わたしたちは、はじめに文科省が無償化法施行規則において、その教育内容及び外交問題を理由として朝鮮学校を受給の対象から除外したことは、26条1項の具体化立法である高校無償化の委任の範囲から逸脱し、違法もしくは違憲ではないかと主張しました。また、他の外国人学校がほぼ無償化の対象となったのにもかかわらず、朝鮮人のみが民族教育を受ける権利を侵害されていることは、14条1項の規程に反する差別であり、違法もしくは違憲ではないかと主張しました。
 曽我部ゼミに対する質問としては、無償化の恩恵を受けるのは生徒とその保護者であり、その権利を学校が代わりに主張することができるのか、という質問や、無償化法による委任の範囲の判断基準において、どのような人権を制約し、どの程度まで制約を可とするか、という質問がありました。


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 最後は尾方ゼミ2班です。ここでは、まず憲法上の人権享有主体性につき、在日朝鮮人のなかでも特別永住者については、日本国民と全く同じような権利が保障されるべきであるとしました。次に、民族教育を受ける権利が、13条および26条で公費助成をうける権利として保障されるべきであるとしました。
 続けて、改正により本件除外におよんだ無償化法施行規則は教育の機会均等という無償化法の目的に照らせば、その委任の趣旨に反し違法であること、当該区別には合理的な正当化理由がなく、不合理な差別であって14条1項に反し違憲であるとしました。
 尾方ゼミ2班に対する質問としては、そもそも民族教育を受ける権利を持ち出してくる理由はなにか、という質問や、公費助成は教育を受ける権利の一部である、ということは、 そのなか(教育を受ける権利内)でも核ということか 、という質問がありました。

 最後は先生方から講評をいただきました。形式面では時間の過不足に注意すること、一般論を引きずることなく、何が論点かをはっきりさせるべきだ、といった指摘をいただきました。内容面では、よかった点として学部らしく、法律の.に限らず様々な分野の話題を拾えていること、改善すべき点として、民族教育は憲法的論点から離れており、あまりこれに執着すべきでなかったこと、行政裁量につき論ずるのであれば、あくまで給付行政裁量について論ずべきこと等が挙げられました。

 その後は懇親会です。普段の曽我部ゼミにも増して華やかなゼミとなり、その懇親会では躍動感みなぎるゼミ生の意外な姿が伺えました。個人的にも懐かしい話がはずむなど、前期ゼミの中でも大きなイベントであったと感じます。2次会では、曽我部ゼミ生の出席率が高く、呑むことと話すことが好きな人が集まっておることを実感しました。幹事としてうれしい限りです。

 最後にこの場を借りて、今回の合同ゼミを企画してくださった尾形先生、赤坂先生、当日の進行を担当してくださった大学院生の先輩方、当日の会場設営と茶菓の提供をしてくださった尾方ゼミ生のみなさま、早朝から遠方よりお越しいただいた赤坂ゼミ生のみなさまに御礼申し上げます。

 

 

 

自由と正義6月号特集・身近な憲法を考える 裁判における人権条項の活用

自由と正義6月号(67巻6号)特集・身近な憲法を考える 裁判における人権条項の活用

 

 日弁連の機関誌「自由と正義」に拙稿「人権訴訟における民事訴訟の意義 ヘイト・スピーチ裁判を例として」を掲載して頂きました。

 お許しが出れば、おって本文もネット公開できればと思います。

 

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朝日新聞社小河記者による講演会

【私担当の学部ゼミでは課内・課外で社会の第一線で活躍されている方々のお話に触れる機会を設けていますが、今回からその模様を参加学生にレポートしてもらうことにしました。】 

 

 こんにちは、曽我部ゼミ4回生の岡田和仁です。
 6月3日(金)のゼミにて、朝日新聞社社会部の小河記者による講演会が行われました。

 講演は、先月オバマ大統領が広島を訪問したニュースについての話題からスタートしました。そして、メディアが被爆者の方々に関する取材をニュースにする作業を通じて、「原爆による30万人の死者」という匿名・抽象的な情報を具体的なものにした意義について触れられました。

 次に、そうした新聞報道において、実名・匿名報道の区別がされていることについてお聞きしました。実名報道によって、情報の受け手であるわれわれが感情移入しやすくなるなどのメリットがある一方で、匿名で報道しなければならないニュースもあるというメディアの葛藤が語られました。
 最後に、実名で報道するか否かの判断はきわどいものであるということについて、最近のニュースに対して現場がどのように対応したのかをお聞きしました。

 約1時間の講演の後、ゼミ生からの質問に答えていただきました。
参加者全員が質問するという盛況ぶりであったので全てに触れることはできませんが、私個人の中で特に印象に残っているものを2つ挙げさせていただきます。
 まず、実名が出されなくても所属団体や役職が分かるだけでインターネットを通じて個人を特定できるようになった現代において、匿名報道の中でもどこまで個人情報を出すかについて質問がありました。この点について、ニュースバリューを考慮してどこまで個人の人物像を明確にすべきかがケース毎に判断されているとのことでした。
 次に、報道が国民の知る権利に奉仕するために、どのように国民の需要を把握するのかについて質問がありました。この点について、かつては新聞社と購読者との双方向性が欠如していたが、現在ではデジタル記事の閲覧数を通じて需要を判断することができるようになったとのことでした。一方で、国民の知りたい情報とは別に、知らせるべきものもニュースにする必要があるとの指摘もありました。

 今回の講演会を通じて、国民の知る権利と個人情報との間の緊張関係について報道の現場でどのように考えられているのかを知ることができました。
 講演してくださった小河記者に、この場を借りて御礼申し上げます。

 

 

 

大石眞(監修)『なぜ日本型統治システムは疲弊したのか 憲法学・政治学・行政学からのアプローチ』

大石眞(監修)、縣公一郎 ・笠原英彦(編著)『なぜ日本型統治システムは疲弊したのか 憲法学・政治学・行政学からのアプローチ』(ミネルヴァ書房

 

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【出版社内容説明より】

 戦後70年が経過し、日本の統治システムも制度疲弊をおこしている。冷戦崩壊・政権交代などを経て、現在求められている統治システムとはどのようなものなのか?
 本書は、国会、内閣、選挙制度など、様々なテーマについて第一線の研究者が考察する。現状と課題を分析し、これからの時代のために最適な制度の形を模索した研究成果の集大成である。

 

【目次】

はしがき

第1章 議院内閣制——国民・国会・内閣の関係(上田健介)
第2章 象徴天皇制——憲法第1章と皇室典範(原田一明・笠原英彦)

第3章 国会——議会の評価と両院制の展望(久保田哲)

第4章 内閣——首相の指導力と政治の大統領制化(西岡 晋)

第5章 司法制度——司法制度改革と裁判所・裁判官像の転換(曽我部真裕)

第6章 財政制度——実質的意味の財政憲法と“財政のかたち”(片桐直人)

第7章 政党——政党の近代化と政党制のあり方(苅部 直・小川原正道)

第8章 選挙制度——分かりやすい選挙へ向けて(岩渕美克)    
第9章 地方自治——「ローカルな民主主義」と政府体系の再編(長野 基)

第10章 政治改革——政官関係と政治資金問題を中心に(柏原宏紀・門松秀樹)

第11章 行政改革——省庁割拠体制を超えて(宇野二朗)

 

 

 

曽我部真裕,見平典(編著)『古典で読む憲法』

曽我部真裕,見平典(編著)『古典で読む憲法』 (有斐閣,2016年)

 

 一般市民や全学共通科目として憲法を学ぶ学生,さらには法学部・法科大学院の学生を対象に,細かい条文解釈ではなく,憲法の重要項目について古典のさわりを紹介しつつ,歴史的な観点も交えて解説してみようという参考書です。

 京大全学共通科目2016年度後期の「日本国憲法」(曽我部担当)で教科書として使ってみようと思います。

 

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2016年03月26日発売
四六判並製カバー付 , 358ページ
定価 2,700円(本体 2,500円)
ISBN 978-4-641-13185-9

 

【執筆者(50音順)】

上田健介(近畿大学

岸野薫(香川大学

櫻井智章(甲南大学

曽我部真裕(京都大学

松尾陽(近畿大学

見平典(京都大学

 

【目次】

第1部 総論・統治
 第1章 立憲主義
 第2章 国民主権
 第3章 権力分立
 第4章 民主政
 第5章 議  会
 第6章 政  党
 第7章 議院内閣制
 第8章 違憲審査制
第2部 人  権
 第9章 人権の観念
 第10章 自  由
 第11章 平  等
 第12章 プライバシー
 第13章 政教分離
 第14章 表現の自由
 第15章 結社の自由
 第16章 経済的自由
 第17章 財産権
 第18章 生存権
 第19章 教育を受ける権利
 第20章 参政権